お抹茶王子にキョーミないですっ!

 龍崎先輩は「ふふ」と妖艶に笑う。

 なに……? ひや、と寒気がした。


「悪いが僕は母が望む相手と結婚するだけだよ。それがさつきさんだろうと、スズちゃんだろうと、まったく知らない女性(ひと)だろうと構わない。それが僕の『役目』だからね」


 え、どういうこと? 龍崎先輩は……本当にお母さんの言いなりなの?

 寒気が一層増した気がした。


「母に選ばれたいのなら自分でがんばって母にアピールすればいい。僕に矛先を向けるのはお門違いだよ」

 ではお先に。という声がしてわたしは慌てて隣のトイレに駆け込んだ。

 心臓がバクバクうるさい。な、なんだろう、この、いつもとちがう龍崎先輩は……。


 あとなんでわたし、……泣きそうなんだ?


 わからない。わからなすぎて、もうオーバーヒートだ。