お抹茶王子にキョーミないですっ!

 それは入部後に初めて迎えた第2金曜。そう、あの龍崎先輩のお母さん『マサミ先生』のご指導日でのことだった。


「えと……西尾といいます」

「あら。西尾さんって、もしかして西尾 マリさんの?」

「あ、はい。娘です」


 あらまあ。と先生は微笑む。上品な若草色のお着物姿、小柄で少し丸っこい感じ。だけどその眼光は鋭くきっちりと結えられた黒髪が『完璧主義』を物語る。


「マリさんお元気?」

 ハイ、元気です! などと答えながら、ドキドキが止まらない!


 だ、だ、だって先生、さっきまでめちゃコワだったんですよ!? 二年生の先輩二人、お叱りを受けてそこで泣いてますよ!?


 え、部員が少ない理由、こっち?


「はいでは次。さつきさん。お点前(てまえ)お願い」

「はい!」


 『お点前』とはお茶を点てること。こんな字を使って書くってこともつい最近知った。


 しんと静まる部室。しゅんしゅんとお湯の沸く音だけが響くようだった。