お抹茶王子にキョーミないですっ!

「いやぁ、たまげた」

 夕陽がまぶしい帰り道、ボヤくように言うのはマヨだ。


「……許嫁のこと?」

「スズは知ってたの?」

「さつき先輩だとは知らなかったよ」

「いやぁ、やっぱ『お抹茶王子』は別格なんだねぇ」


 そうだねぇ。と苦笑いで返す。


「でもあの二人、将来本当に結婚したりするのかな?」

「うーん……」

 お付き合いだってしたことないのに。『結婚』だなんて未知すぎてピヨピヨなひな鳥のわたしにわかることはなにもないよ。


「あんまり仲良さそうじゃないよね?」

「そんなもんなんじゃないのかな。結婚相手っていうのは」


 ぼんやり思い浮かべるのは自分のお母さんとお父さんだった。仲は悪くないけど、とびきり良くもないと思う。


 マヨは「ふーん」とだけ言って「前途多難ですな、『一般庶民スズ助のタマノコシ物語』は」などと言う。


「……なにそれ」

「スズが主人公の物語。ノンフィクションの」

 この前『主人公の親友役』だとか言ってたやつか。


「今の話題、わたし関係なかったよね?」

「はあー? 関係ありありじゃん。許嫁なんて、強烈な恋のライバルの登場でしょう? 超盛り上がるとこじゃんっ!」

 ううーん? よくわかんないな。

「なんで恋のライバル?」

 訊ねるとマヨは憐れむような顔をしてわたしを見てきた。