「西尾さんは関係ありません」
「ひぇ!?」
そう言ったのは意外にもさつき先輩だった。そしてその視線はわたしからある一点へと移る。
「千菊くん。あなたに言っているの」
矢を射るように鋭くその視線が刺したのは部室の隅で茶器を磨いていた龍崎先輩だった。
「おや。なんのことかな?」
いきなり名指しされたというのに龍崎先輩は余裕な様子だった。どこか優雅に微笑むと、こと、と茶器を丁寧に置いてゆっくりとさつき先輩のもとへと歩みよる。う。歩くだけで優雅なのなんで。
「部長の僕が部の風紀を乱すわけないでしょう。この二年余り、常に許嫁であるキミの隣にいながら指一本さえ触れてないのに」
やんわりと微笑む龍崎先輩を、さつき先輩はギロリと睨むように見上げた。
「え、えっえっ?」
驚愕の声を上げたのはマヨだ。
「いっ、いいい、イイ茄子漬けっ!?」
いや、許嫁っ!
そっか。この前やよいちゃんがわたしにやたらと厳しく言っていたのはお姉さんであるさつき先輩が許嫁だからだったんだ。
「……とにかく。規則は厳守でお願いします。違反を確認したら場合によっては退部となりますので。たとえ部長であってもです」
ハイっ! と今度は一年生も一緒に返事をした。いやいや、こんな完璧なる『許嫁』がいて張り合おうなんて思うわけないよ。
そうしていよいよ、今年度の茶道部は始まったのでした。
「ひぇ!?」
そう言ったのは意外にもさつき先輩だった。そしてその視線はわたしからある一点へと移る。
「千菊くん。あなたに言っているの」
矢を射るように鋭くその視線が刺したのは部室の隅で茶器を磨いていた龍崎先輩だった。
「おや。なんのことかな?」
いきなり名指しされたというのに龍崎先輩は余裕な様子だった。どこか優雅に微笑むと、こと、と茶器を丁寧に置いてゆっくりとさつき先輩のもとへと歩みよる。う。歩くだけで優雅なのなんで。
「部長の僕が部の風紀を乱すわけないでしょう。この二年余り、常に許嫁であるキミの隣にいながら指一本さえ触れてないのに」
やんわりと微笑む龍崎先輩を、さつき先輩はギロリと睨むように見上げた。
「え、えっえっ?」
驚愕の声を上げたのはマヨだ。
「いっ、いいい、イイ茄子漬けっ!?」
いや、許嫁っ!
そっか。この前やよいちゃんがわたしにやたらと厳しく言っていたのはお姉さんであるさつき先輩が許嫁だからだったんだ。
「……とにかく。規則は厳守でお願いします。違反を確認したら場合によっては退部となりますので。たとえ部長であってもです」
ハイっ! と今度は一年生も一緒に返事をした。いやいや、こんな完璧なる『許嫁』がいて張り合おうなんて思うわけないよ。
そうしていよいよ、今年度の茶道部は始まったのでした。
