お抹茶王子にキョーミないですっ!

 翌朝は遅刻マンのはずのマヨがわたしより先に橋のふもとにいた。


「お……おはよう。早いね」

「また龍崎先輩にスズを取られたらダメだと思ってね」

 言いながらキョロキョロと辺りを見回す。先輩を探してるの? それとも親衛隊さんのほう?


「で。昨日は? どこまでいったの?」

「げっほあ、ごほごほっ……」


 いきなり変なことを言うからたまらず咳き込んだ。


「な……なにそれ、どこってどこ!?」

「え、それ言わせる!?」


 や、やめれ、まったく……。


「告白されたりしなかった?」
「しないよ」

「え、じゃあなんで呼び出されたの」

「ええ……? だから『お詫び』だってば。手紙にもそう書いてあったでしょ」


 するとマヨは黙って宙を睨んだ。そして、ぶん、と音を鳴らす勢いでこちらを向く。


「ウソだね!」
「う、ウソじゃないよ……」


 本当にただお抹茶をいただいて、片付けをして道具のことを教わって、そして入部宣言をして二人で帰っただけだもん。


 や、やましいことなんてなにひとつないよ?


 なにを意識したのか真っ赤なハートのヘアピンを付けたマヨは「ふうん?」とまだ疑わしげにこちらを見てくるけど、真実はひとつだよ。


「茶道部に入部することにはなったけど」

「ふむ。じゃあ進展はこれからってわけか」


 そんなこんな。マヨとともに入部届を提出すると、あっという間に二度目の部活の日がやってきた。