お抹茶王子にキョーミないですっ!

 二人で道具を洗って拭いて片付けて、先輩はその名前や使い方を詳しく教えてくれた。


「誘ったからには責任もってちゃんと教えないとね」


 そうするうちにわたしは茶道について学ぶこの時間を「たのしい」と感じ始めていた。

 うん、たのしい。茶道、奥深くて、たのしいかも。先輩がカッコイイからとかそんなのじゃなくて。関係なくて。純粋に茶道に惹かれた。


 アリだ。茶道部。

 茶道部で青春。うん、アリ!


「先輩はよく自主練してるんですか?」

 訊ねてみると「ああ、基本的には毎日いるよ」と。


「え、毎日、ですか」

 驚いて言うと「まあね」と笑った。


「ひとりでですか?」

 ひとりでもできなくはないんだろうけど。


「水曜はさつきさんも来るよ。けど基本的にはひとりかな」


 すると「スズちゃんなら」とその顔をこちらに向けた。

「来てもいいよ。好きな時にいつでも」


 嬉しい、とは少しちがった。なんというか、先輩のその言い方が、まるで「ほかの人にはダメって言ってるけど」という意味を持つような気がして。