お抹茶王子にキョーミないですっ!

 先輩のひとつひとつの動きが、なんて優雅で綺麗なんだろう。『静』と『動』が、心地いい。


 音が、空気が、時間が特別になる────魔法みたいだ。


「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 ブン、と頭を下げると、先輩は少し笑って「こうだよ」と正しいお辞儀の仕方を教えてくれた。


「両手のひらを膝の前に付いて、ハの字を作るように。そこにこうして、額を近づける」

「こう……ですか」


 ぎこちなくだけどやってみる。すると「そうそう」と言ってもらえた。


「とても綺麗だよ。スズちゃん」


 うっ……。なんっ、なんなの、このお尻が浮くような感覚はっ!


 お抹茶の味は思ったほど苦くなく、先ほど食べた干菓子の甘みと溶け合うようでとても、とっても美味しかった。

「おいしい!」

 思わず言うと先輩は「よかった」と笑った。


 茶道……か。

 面倒なことに巻き込まれるくらいならもういいやって正直思ってた。けど、そんなに悪くもないかもね?


 やってみる?


 そしたらいつかわたしも、先輩みたいに上手に出来るようになるかな?


「どう。茶道に興味湧いた?」

「えっと…………はい」

 正直に答えると先輩はまた「よかった」と笑顔になった。