「す、すすすみませんっ。なんか、ええと、どうしたらいいかわかんなくなっちゃって!」
龍崎先輩は「どうもしなくていいよ。部活外だし、気軽に」と笑う。
気楽に……できるわけがない。
でもこうなればもう逃げられない。仕方なく少し挙動不審になりつつ部室へと足を踏み入れた。
部室内は畳とお茶の上品な香りで満ちていて、ふんわりと暖かかった。畳の上では茶釜(というのかな?)から湯気が立っている。これのおかげで部屋が暖かいのかも。
「悪かったね、親衛隊さんたちのこと」
先輩はブレザーを脱いでカッターシャツを腕まくりしていた。
白い腕に例のホクロが顔を出す。そういえば毛はぜんぜんないな。剃ってるのかな。って余計なことを考えてしまった。
「あ……いえ」
先輩が謝る必要はないのでは、と思いますが。それでも自分が原因、ということか。『王子様』も大変だ。
「少なくともこれでもうややこしいことには巻き込まれないはずだよ」
「ややこしいこと……」
「うん。悪いね。僕が目立ってしまっているから」
「や……」
否定はできない。というか自覚があるんですね。そりゃそうか。
「茶の湯は初めて?」
「あ……はい」
答えると先輩は「それはいい」と微笑んで「作法はいいから」と畳の上へとわたしを誘った。
う。正座か。じつはあんまり得意じゃない。それも茶道部から逃げようと思う理由のひとつなんだよね。
「痺れそうなら足、崩してもいいからね」
言いながら先輩は小箱をわたしに差し出した。
「今日は干菓子しかないけど。つまんでみて」
「ひがし……?」
龍崎先輩は「どうもしなくていいよ。部活外だし、気軽に」と笑う。
気楽に……できるわけがない。
でもこうなればもう逃げられない。仕方なく少し挙動不審になりつつ部室へと足を踏み入れた。
部室内は畳とお茶の上品な香りで満ちていて、ふんわりと暖かかった。畳の上では茶釜(というのかな?)から湯気が立っている。これのおかげで部屋が暖かいのかも。
「悪かったね、親衛隊さんたちのこと」
先輩はブレザーを脱いでカッターシャツを腕まくりしていた。
白い腕に例のホクロが顔を出す。そういえば毛はぜんぜんないな。剃ってるのかな。って余計なことを考えてしまった。
「あ……いえ」
先輩が謝る必要はないのでは、と思いますが。それでも自分が原因、ということか。『王子様』も大変だ。
「少なくともこれでもうややこしいことには巻き込まれないはずだよ」
「ややこしいこと……」
「うん。悪いね。僕が目立ってしまっているから」
「や……」
否定はできない。というか自覚があるんですね。そりゃそうか。
「茶の湯は初めて?」
「あ……はい」
答えると先輩は「それはいい」と微笑んで「作法はいいから」と畳の上へとわたしを誘った。
う。正座か。じつはあんまり得意じゃない。それも茶道部から逃げようと思う理由のひとつなんだよね。
「痺れそうなら足、崩してもいいからね」
言いながら先輩は小箱をわたしに差し出した。
「今日は干菓子しかないけど。つまんでみて」
「ひがし……?」
