今年のお茶席は午前に一年生と三年生が一人ずつ、午後は二年生と三年生が一人ずつお点前を披露することになっている。
お客様は順次入れ替え制。なるべくたくさんの人に茶の湯を体験してもらうため。
というわけでわたしがトップバッターなのです。
ふう、と短く深呼吸をして、ついたての裏から明るい会場をちらと覗く。
物珍しそうにするお客さんの生徒たちが数名見えた。これからあの前で注目されながらわたしはお点前を披露するんだ。
手が冷える。冷房のせいじゃない。
緊張。
お盆を掴む手が汗でぬるりと滑った。
ふう。また息をつく。
大丈夫。落ち着いて。
「大丈夫。落ち着いて」
低い囁き声にはっとした。思っていたことが、そのまま耳から聴こえた。
「大丈夫だから。楽しんでおいで。スズちゃん」
言って、そう、とわたしの耳もとから離れる、龍崎先輩の気配。
お礼、言えなかったけど、あとでたくさん言おう。
力が湧いた。
楽しもう。
茶の湯を。
茶道部を。
今を。
目を閉じて、開く。
そうして会場へと一歩、足を踏み出した。
お客様は順次入れ替え制。なるべくたくさんの人に茶の湯を体験してもらうため。
というわけでわたしがトップバッターなのです。
ふう、と短く深呼吸をして、ついたての裏から明るい会場をちらと覗く。
物珍しそうにするお客さんの生徒たちが数名見えた。これからあの前で注目されながらわたしはお点前を披露するんだ。
手が冷える。冷房のせいじゃない。
緊張。
お盆を掴む手が汗でぬるりと滑った。
ふう。また息をつく。
大丈夫。落ち着いて。
「大丈夫。落ち着いて」
低い囁き声にはっとした。思っていたことが、そのまま耳から聴こえた。
「大丈夫だから。楽しんでおいで。スズちゃん」
言って、そう、とわたしの耳もとから離れる、龍崎先輩の気配。
お礼、言えなかったけど、あとでたくさん言おう。
力が湧いた。
楽しもう。
茶の湯を。
茶道部を。
今を。
目を閉じて、開く。
そうして会場へと一歩、足を踏み出した。
