朝、部室に着くと色とりどりの浴衣が部屋の隅に移された畳の上に広げられていた。
「すごい。これぜんぶさつき先輩のお家の浴衣ですか?」
「そう。西尾さんはね……ああ、あった。これ。どうかしら?」
そう言ってさつき先輩が見せるのは白地に桃色の小花が可愛らしく散りばめられた柄の浴衣だった。
「かっ、かわいすぎません!?」
「そう? 悪いけど変更は不可なの。千菊くんのご希望だから」
「へっ……」
「まったく呆れた人よ。この期に及んで裏方としての決定権を私欲のために乱用するなんて。本当に全然反省してないんだから」
な……ななな!?
り、龍崎先輩が、わたしに選んだ浴衣!?
「その花は撫子。意味は『笑顔』や『優美』、だったはず。花言葉は『純粋な愛』」
「ひいいいい」
さ、さつき先輩っ、なんかわざと刺激を強めてません!?
「どうしても嫌なら千菊くんに聞いてみる?」
「だだ、大丈夫ですっ」
着付けはさつき先輩が手際よくやってくれた。ほかの一年生たちのもチャチャッと。すごい。……と思って見とれていたら「来年からは自分でやってね」と。
えっ、と周りを見ると二年生の先輩たちはなんとか自力で着付けをしていた。
ひやぁ。来年はあっち側か。
全員の着付けが終わるとさつき先輩が「部長を呼んで来ます」と出ていった。
そういえば今日はまだ顔を見てない。まあ女子部員たちが着替えてたから席を外してたんだろうけど。
そうして『その人』が、ガラ、と部室のドアを開く────ん? ちがう?
「すごい。これぜんぶさつき先輩のお家の浴衣ですか?」
「そう。西尾さんはね……ああ、あった。これ。どうかしら?」
そう言ってさつき先輩が見せるのは白地に桃色の小花が可愛らしく散りばめられた柄の浴衣だった。
「かっ、かわいすぎません!?」
「そう? 悪いけど変更は不可なの。千菊くんのご希望だから」
「へっ……」
「まったく呆れた人よ。この期に及んで裏方としての決定権を私欲のために乱用するなんて。本当に全然反省してないんだから」
な……ななな!?
り、龍崎先輩が、わたしに選んだ浴衣!?
「その花は撫子。意味は『笑顔』や『優美』、だったはず。花言葉は『純粋な愛』」
「ひいいいい」
さ、さつき先輩っ、なんかわざと刺激を強めてません!?
「どうしても嫌なら千菊くんに聞いてみる?」
「だだ、大丈夫ですっ」
着付けはさつき先輩が手際よくやってくれた。ほかの一年生たちのもチャチャッと。すごい。……と思って見とれていたら「来年からは自分でやってね」と。
えっ、と周りを見ると二年生の先輩たちはなんとか自力で着付けをしていた。
ひやぁ。来年はあっち側か。
全員の着付けが終わるとさつき先輩が「部長を呼んで来ます」と出ていった。
そういえば今日はまだ顔を見てない。まあ女子部員たちが着替えてたから席を外してたんだろうけど。
そうして『その人』が、ガラ、と部室のドアを開く────ん? ちがう?
