お抹茶王子にキョーミないですっ!

「字はいいんだけど、絵は不得手なんだよね」


 ある日そうボヤくから「ちょっといいですか?」とその手もとから紙を貸してもらった。

 さらさら、と描いてみる。

 自信があるわけじゃないけど、少しでも先輩の力になりたくて。

 すると「すごい……!」と感嘆されてしまった。


「や……こんなの、ぜんぜん」

「いや上手いよ、お世辞抜きで」


 見てみんな、と回されてしまいいよいよ顔が熱い。か、勘弁してください……!


「来年からは西尾さんがチラシ担当で決まりね」

 微笑むのはまさかのさつき先輩だった。

 そういえばここ最近ずいぶんトゲがなくなった気がする。実際笑顔もよく見るようになったもん。


「今後の茶道部をよろしくね」

「や、やめてくださいよそんな……寂しいこと言うのは」


 答えると一層微笑んでポン、とわたしの頭を撫でた。

 ……って、えええ!? あのさつき先輩が!?


 なんだか調子が狂うな、と思っていると、やよいちゃんと目が合った。


「羨ましい……」

「へっ」

 な、ななな!?


「今、さつき姉さんに頭ポンポンされましたね?」

「い、いやいや! ……えっと?」

「羨ましいいいいっ」


 ひええええっ、やよいちゃんの『お姉さんリスペクト』が謎!



 そんなこんな。あっという間の二週間で。

 わたしたち茶道部は、ついに本番の『文化祭当日』を迎えたのでした。