お抹茶王子にキョーミないですっ!

 先輩は少しの間キョトンとして、それから、ぱああ、と花が咲くみたいに笑顔になると、飛びつくみたいにわたしをぎゅうっ、と抱きしめた。


「ひっ……が」

 うわわわわ。ひいいがっ。ひいいがっ。

 こ、ここここんなことされたらっ、さすがにわたしだって気絶しますよ!?


「スズちゃん」
「……は、はい」

「スズちゃん」
「ひっ……はい」

「大好き」
「ひいいいいいい」


 なんだかもう、べつの意味で殺されそうですが!?


「茶道部にも戻ってくれる?」

「も、戻れるんですか?」

「もちろん。そもそも母はただの部活講師で、そういった決定権は持っていないはずだもん」


 な、なんと……。


「さつきさんにももう文句は言わせない」

 先輩は優しく腕をほどきながら言った。


 気づけば周りのあちこちから「ひゃあ」「きゃあ」という悲鳴が聞こえてくる。

 これはもはや大罪、というか償えるレベルの罪ではないのでは!?

 し、親衛隊さん、護ってくれますよねっ!?



 そんなわけで、いろいろと大変だったけどこれですべてが丸く収まった。……かと思ったんだけど。


「他の部員たちに示しをつけるためにも、規則違反の罰はしっかり受けるべきと思います」


 それはわたしが部員復帰を果たした9月の最初の部活でのことだった。