いつのまにか

騒然としていた市場の中が

静まり返っていた。



人がいなくなったわけじゃない。



たくさんの人々が

遠巻きにあたしたちを見ている。



みんなあたしたちを凝視したまま

時が止まったように

立ち尽くしている。



あたしは震える少年を

抱きしめたまま

ゆっくり周囲を見渡して

にっこりと笑った。