好きです、先輩。別れてください

おどおど、先輩と目を合わせようとしない私に先輩は気づいていたのかな。


寂しそうにくしゃっと笑った先輩は、儚くみえた。


私の頭をぽんぽんしようとしたのかもしれない、不自然に上がった手は、私に触れることなく下ろされた。




「クラス委員、がんばってね」


「…はい、先輩もがんばってください」


「うん」




楓茉先輩は最後まで私の名前を呼ばなかった。


それが私が選んだ先輩との関係だというのに、悲しくて寂しくて泣きそうだった。



あの日とは真逆、背を向けて去っていく先輩をぼーっと見つめている私は、側から見たら星谷 楓茉のファンにでも見えるのかな。




「……桜庭さん、大丈夫?」


「───え…」




私の名字を呼んだのは、猫葉くんの声。


咄嗟に反応し損なった私をどう思っているかな。




「もうすぐ準備終わるって。……少しだけ時間ない?」


「……ある、よ」


「わかった。教室で待ってて」




そんなことしたら猫葉くんファンの子たちに恨まれるかも、とか呑気に考えているほど、私の頭の切り替え能力は高くない。



頭の中は楓茉先輩でいっぱいなのに、自分から幸せを手放した。


ほんとにバカだ、私。


まだこんなにも先輩を好きでいるのに、もうこんなにも先輩は遠い。