好きです、先輩。別れてください

「先輩ね、悲しそうな顔してたのっ。私がそうさせたんだよっ」


「それだけ星谷先輩が絆菜のこと好きだったってことでしょ?」


「それならなおさらだよぉ」




大丈夫、大丈夫と私が泣き止むのを待っていてくれている。



ぐすぐす、と涙も落ち着いてきたころ。


ふと、がちゃっと開いた屋上の扉。


せっかくの仁那との2人きり、が……




「え、……桜庭さん、泣いてんの?」


「猫葉ぁ!男子禁制なんですけど!」


「えっ、は?」




扉の向こうから、こんにちは猫葉くん。


……じゃない!えっ、なんでここに猫葉くんがいるの??


そして仁那はなんで平然と相手してるの?




「帰ってください、今私たち2人の時間なんで〜」


「ちょっと仁那、それは流石にひどいんじゃ……」


「あいつにはこれくらいでいいんだよ、気にしないで絆菜」




雑……、対応が雑すぎるよ仁那。そんなに仲よかったっけ、仁那と猫葉くんって。


しゃべってるとこほとんど見たことない気がするんだけど──




「桜庭さん泣いてるけどどういうこと?に、な……湖東(ことう)さん」


「あっ」


「……えっ?」




今、猫葉くん、仁那のこと名前呼びした!?


仁那のフルネームは湖東 仁那。


すぐに湖東さんって言い直したけど、今のは絶対に素で言ってたよね?


ていうか仁那もやらかしたって反応してたし……



お互いに顔を見合わせて探り合う雰囲気が流れる静かな屋上。


昼休みの終わりを告げるチャイムはまだまだ鳴りそうになかった。