好きです、先輩。別れてください

いつもだったら遠慮してただろうけど、今の自分は自分で思ってる以上に限界みたいだ。


こてん、ともたれかかった肩は、見た感じは細いのにきちんと人を支えられる男の人のものだった。




「おやすみ、はんちゃん」



家に着くまでに聞いた最後の言葉はこれ。


どうやら先輩は、タクシーまで私のことを運んでくれて家に着くまで起こさないようにしてくれていたらしい。




「はんちゃん、起きて?」


「んぅ〜」


「はんちゃん?」




意識が朦朧としていた私は、先輩の冷たい手をひんやり素材のぬいぐるみか何かと勘違いして擦り寄ったらしい。


最後はきちんと自分の足で家に入ったはずなんだけど、男の人が送ってくれたとお母さんは驚いた顔をしていたらしい。


"らしい"と連発しているのは、私はよく覚えていないから。今までのは全部、あとになって聞いた話。




「かわいいことばっかりしないで?俺も男なんだから」




でもこの言葉は唯一、私の記憶に残っているもの。


先輩がこんなことを言っているのは想像できないから、私の夢だったかもしれないけどね。



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