好きです、先輩。別れてください

「ねえ、はんちゃん。前、声かけられたって教えてきたときに、ああいうのは無視してって言わなかったっけ」


「え〜っと……言われ、ました」




あのあと、逃げるようにおじさんが立ち去ってから、私と楓茉先輩は場所を移動して先輩のお家へ。


その辺のカフェとかでも私は全然いいんだけど、先輩が女子といるときに身バレしたら大変だからね。



そして今、優しい笑顔にちょっとだけ怒りを滲ませた先輩とが対面している、と。


でもその怒りの矛先は、私じゃないみたい。




「心配なんだよ、はんちゃんのことが」


「〜っ!好きです、先輩!」


「ありがとう。俺もはんちゃんのこと好きだよ」




にっこり幸せそうな笑顔と甘い言葉に、私の心臓はきゅんを通り越してぎゅん!と跳ねる。



学校でも、きっと仕事の現場でもみんなに好かれてる先輩なのに、私はあまり取られる心配をしてない。


それは先輩が私が大切だっていうのを言葉と態度で示してくれるからだ。




「あれ、先輩新しいドラマ出るんですか?」




ふと目を向けた机の上、表紙が下になってるけど置いてあるそれは台本なんじゃないかな。




「ん?あ〜、そうだよ。2話しか出ないんだけどね」


「それでもすごいです!絶対見ますね!」


「ありがと、じゃあがんばらないと」




ぽんぽんっと頭を撫でてくれた優しい手つき。


大事にしてくれてるんだなってわかるから、私も同じだけ返したい。