好きです、先輩。別れてください

屋上にたどり着いて、がちゃっと開けた扉の向こう。




「屋上はじめて来た……」


「そうなの?私はたまにくるけどな」




聞けば仁那は、リフレッシュしたいときに屋上に1人で来ていたらしい。


風が少し吹いていると気持ちよくて、湿度が高いと気持ちよくないんだって。




「で、今回は何があったの?」


「……それがね───」




昨日のテレビの話をかいつまんで話す。


話している間にも気分は沈んで、気づけばフェンスにもたれて座り込んでいた。


もちろん隣には仁那も一緒。




「人の心をきちんと考えられるのは絆菜のいいところだけど、それは気にしすぎ!」


「でも、仕事一筋だって……」


「だってテレビだよ?かわいいかわいい彼女がいます〜、なんて言えないでしょ」


「私、かわいくはないけど……」


「……」




いくらなんでも私だってわかってるよ、テレビだから言えないなんてことは。



でもね、怖いんだよ。


私がどれだけ先輩のことが好きでも、どんどん先輩は離れていっちゃう気がするから。


星谷 楓茉は今やそれなりに人気が出てきた若手俳優。私だけの楓茉先輩じゃない。



そんな不安を声に乗せて、仁那にぶつける。独りよがりで身勝手な、私の醜い嫉妬心。