好きです、先輩。別れてください

「桜庭さん、彼氏いたんだ」


「う、うん。あんまり言ってないんだけどね」




そう、私は彼氏がいることをあまり人に言っていないのだ。


なのに、何故か猫葉くんには言っていいかなって思った。




「それ知ったらクラスのやつら騒ぎそうだね」


「そうかな?みんな気にしないんじゃない?」


「桜庭さんが気づいてないだけで男子なんてみんな気にするから」




前を向いて歩いている横顔はよく見えなかったけど、どんな顔をしているの?


それに男子が私の彼氏を気にするってどういう……。




「彼氏がいるなら俺と一緒にいるとこ見られたらまずいんじゃない?」


「ちょっとまずいけど……優しいし、そもそも忙しいから会えないよ……」


「そっか」




再び気まずい沈黙。でも今回のは私が暗いこと言ったのが悪いのかも……。


第一、会えないなんて言ったのがフラグだったんじゃないかな〜って、あとから思うよ。




「もう駅だし、ここまででいいよ」


「わかった、気をつけて」


「うん、ありがとう。またね」


「ん」




そっけない返事も、その前の気をつけてで優しいのが伝わってきちゃう。


だからモテるんだろうな……


猫葉くんの背中を見送って、駅のほうに足を向けたとき──




「……はんちゃん?」


「えっ」




聞こえたのは、大好きな先輩の声でした……。