「先輩、顔見せてください!」
「なんで?」
「なんでもです!」
胸板を押して先輩の顔を腕の中から見上げる。
そして、息が詰まった。
だって───先輩の顔がすごく近くにあったから。
私が少し背伸びをして見上げたのもあるけど、先輩が少し首を傾げて私の顔を覗き込もうとしていたからさおさら。
「……絆菜。キス、してもいい?」
「っ!……私が嫌がるわけ、ないじゃないですか」
ストレートではないこの言葉も、先輩ならわかってくれるよね?
これが私の精一杯の言葉だったんだって。
そんなに優しく笑ってくれるから、甘えちゃうよ。
先輩の顔がゆっくり近づいてきて、私は目を閉じる。
少しの間ののちに、唇に柔らかい感触。
強引じゃない、相手のことを思いやっている先輩らしいキス。
熱が離れていって目を開くと、先輩と目が合う。
そして、お互いに照れて逸らした。
「……先輩、ずっと大好きですよ」
学校の屋上。
この思い出はふたりだけの宝物として、末永く大切にしよう。
これからもずっと楓茉先輩のことを好きでいるから、先輩も私のこと、好きでいてね。
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