「桜庭さん?」
「……あっ、食べさせるのは無理だからね!」
「はいはい、諦めるよ。一個もらうね」
「どうぞ」
なんとか乗り切って自分で食べてもらった頃には私はけっこう疲れてしまっていた。
まだ花火すら始まってないんだけど……。
「なあなあ冬弥!お前って桜庭さんのこと好きだろ?」
「はぁ、なんで?」
「俺の勘!」
横で聞いていた私も、希兎くんの言葉にドキッとしてしまう。
ちなみに仁那は直球すぎる希兎くんの横で頭を抱えてる。
猫葉くんはなんて応え───
「そうだよ。もう告って振られてるけどね」
「えっ!桜庭さん、冬弥のこと振ったの!?中学のころからモテまくってた冬弥を!?」
「ご、ごめんなさい……」
「あっ、いや!責めてるわけじゃなくて」
なんで言っちゃうかな猫葉くんは!秘密にすればいいのに。
希兎くんとか興味津々そうじゃん。
「冬弥はなんで───」
「ストップ希兎。人には言いたくないことのひとつやふたつあるでしょ」
「仁那でもさぁ」
「でもじゃない!お好み焼きでも食べて落ち着いて?」
うまく希兎くんをあしらってくれた仁那は彼氏のことをよくわかってる。
食べ物を渡せばどうにかなるって思ってるのかな。流石幼なじみ!
花火を待つ間も話題が絶えない私たちは、案外一緒にいるのとちょうどいいのかもって、少し思った。


