好きです、先輩。別れてください



「じゃあ絆菜ちゃんと仁那同時進行するから浴衣だして」


「は〜い」




私が出したのは薄いピンクの生地にピンク色の撫子が散りばめられた浴衣。


帯は薄い黄色とピンクのグラデーションだ。



対して仁那は白地に紺色の朝顔が描かれた浴衣。


帯は朝顔と同じく紺色。




「いい浴衣ね、2人とも。浴衣の柄の意味を知ってて選んだの?」


「浴衣の柄の意味?知らないよ」


「私も知らないです」




意味なんて全く考えずに選んだけど、撫子ってどんな意味があるんだろ?


ていうか、意味があることすら知らなかったけど。




「絆菜ちゃんの撫子は『純愛』、『可憐な笑顔』って意味だよ」


「純愛……」


「で、仁那の朝顔は『固い絆』、『愛情』ね。固い絆って仁那と絆菜ちゃんみたい」


「確かに。絆が入ってるのいいね」




愛って聞いて思い浮かべるのは今でも楓茉先輩だ。


でも、そのあとで猫葉くんの顔も浮かんできた。




「もしかして私、なんかダメなこと言った?」


「ん〜、触れないであげて」




今このことを考えて暗くなるわけにはいかない。


だって花火大会だもん。目いっぱい楽しまないと!



右前を間違えたりおはしょりがわからなくて紗織さんに助けてもらいながら無事、浴衣の着付けが完了した。