好きです、先輩。別れてください



ピンポーンとチャイムを押すと、家の中からドタバタと足音が聞こえてくる、お祭りの日のお昼過ぎ。




「絆菜ちゃん、いらっしゃい!」


「さおちゃん、私もいるんだけど」


「仁那は別にいいのよ、慣れてるし」


「扱いが雑」




玄関のドアが開いた瞬間、繰り広げられる仁那たちのマシンガントーク。


そして、明らかに置いてけぼりの私。




「あ、あの。はじめまして……」


「はじめまして!紗織(さおり)っていうの。仁那に聞いてる?」


「少しは……。あっ、桜庭 絆菜です。よろしくお願いします」


「そんなにかしこまらなくてもいいのに〜。仁那とは大違い」


「それひと言余計」




部屋に通されてから、少し落ち着いて紗織さんを見ると、すごく綺麗な人だった。


ちょっとだけ仁那と目元が似てるのは流石いとこ。ゆるく巻かれたポニーテールが後ろでふわふわ揺れている。



部屋の中も、控えめだけど優しい色合いで統一されていておしゃれ。




「早速だけど、時間かかるし着付け始めよっか。2人とも浴衣は自分のがあるのよね?」


「そうだよ、さおちゃんが選ぶと時間かかるし」


「失礼ね。似合うのを見つけるんだからいいでしょ」


「まあね」




会話から察するに、こうやって着付けとか頼むのは初めてじゃないのかな?


私は歳の近いいとこがいないからこういうの羨ましい。