呆気に取られている猫葉くんの側から脱出。
走っていって仁那の背中に隠れる。
「絆菜にガチで惚れてんのはセンスいいと思うけどさ、怖がらせるのは猫葉のしたいことじゃないよね?」
「……っ」
「好きなら相手が嫌がらない方法でアプローチしなよ。顔はかっこいいんだから」
いいこと言ってるけど仁那、"顔は"って部分を強調させるのには悪意があるんじゃ……。
私のところからは逆光で猫葉くんの顔は見えないけど、さっきみたいに笑っているわけではないだろうなってなんとなく。
「私がきてよかったね?思いとどまれたんだから」
「……あぁ」
後悔してるのかな、あんなことしたこと。
だって、声から後悔の思いが滲み出ているのがわかるもん。
「ごめん、桜庭さん」
「……いいよ。もうしないでね」
「絆菜が優しくてよかったね?猫葉」
仁那、さっきから言葉の端々に棘があるんじゃ……。
私のために怒ってくれてるんだとは思うけど。
いい友だちを持ったな、私。
「仁那、さっき止めてくれたの感謝してるわ」
「あんたのためじゃなくて絆菜のためだから。そこ勘違いすんな!」
「はいはい」
一応、和解ってことでいいのかな?
こうやって軽口を叩き合える関係っていいな、と思いながら、仁那と教室に戻った。


