何にもないところで躓いたり、仁那も言ってたけど忘れ物を頻発したり。
猫葉くんと目が合ったときにはすっごい速さで目を逸らして首を痛めたくらいにはやばい。
「絆菜ちゃん、火の近く危ないよ?」
今も、ぼーっとしてる私は気づかない。
理科の実験中、加熱した塩がパチパチと跳ねていて危ないことに。
パチッ、と一際大きく跳ねて私のほうに飛んでくる───!
やっと気づいた私。だけど、私の反射神経はそこまでよくはない。
「っ、桜庭さん!」
「っ!」
ぐいっと私を引っ張って火から引き離したのは、最近の私の悩みの中心、猫葉くん。
火は私に当たらずに、防火加工されてる机に落下。
ただ、問題はそこで終わらない。
「おい猫葉ぁ!ずるいぞ譲れ!」
「あー!絆菜ちゃんいいなぁ」
男子も女子も大注目。
まあ、それもそのはず。女子人気No.1の猫葉くんが私を守ったんだから───抱き寄せるっていう力技で。
「お前ら騒ぐな!さっさと席戻れ」
ナイスだよ山本先生!たまにはいいことするじゃん!
いったん、この騒ぎはここでおしまい、みたいな雰囲気。
猫葉くんは小さい声でごめんって呟いて離れていった。
ごめんって、言う必要なんてないのに。
助かったけど、猫葉くんにお礼言えてない……。
あとで言わないとな。はぁ、気が重いよ。


