偶然、本当に偶然はんちゃんの最寄駅の近くを通った帰り道。
この道を通らなければよかった、なんて思ってももう遅い。
ねえ、はんちゃん。
なんで男と歩いてるの?俺と駅で偶然あったときの男だよね。
なんて、別れた俺がいう権利もないけど。
はんちゃんが選んだのは俺じゃなくてそいつだったんだね。
俺のことだけ見てほしいって言ったときに頷いてくれたじゃんか。
「ははっ」
口から、渇いた笑いがこぼれでる。
だっさいなぁ、俺。はんちゃんが絡むとダメダメだ。
はんちゃん、俺の隣で笑っていてよ。
俺さ、他人にもわかるくらい落ち込んでるらしいよ?
カメラの前では隠し切れても、どうやってもどこかでボロが出る。
マネージャーにも心配された。本調子じゃないみたいですけどって。
流石に最近は落ち着いてきたけど。
「……はんちゃん」
その言葉に、振り向いてくれるわけじゃないけどさ、どうしても返事を期待しちゃうよ。
別れた次の日に、はんちゃんに送ったメッセージ。
《別れたくない》
独りよがりなその言葉は、既読がつく前に消したけど、俺の何よりの本心だったよ───


