イケメン刑事(デカ)は ちょい悪美女を囲い込む

そんな事があって少しした頃、カフェの遅番の帰り道IT企業からのメールを読みながら歩道を歩いていると,向こうから早足で歩いてきた人と肩がぶつかってしまった。

ぶつかった拍子にスマホを落としてしまい、結花は慌てて拾い上げた。その人は何も言わずに早足に行ってしまった。

メールを見て歩いていた結花も悪いが、せめて謝れよと心の中で毒づいていた。

でも男の匂いに違和感を覚えたのだ。結花はスーパースメラーまでではないにして臭覚が鋭いのだ。

匂いに対するセンサーが人一倍敏感で、環境のちょっとした変化にもすぐ気が付くし記憶力もいい。

とくに匂いに紐づいた記憶はその匂いを嗅ぐと直ぐに記憶と結びつくのだ。

今の男の人は消毒薬とカイロの匂いとごみの匂いがした。この組み合わせの意味は何だろう?

消毒薬は普通の消毒薬の匂いでは無くもっと純粋な薬のエタノールの匂いだった。

どのように説明すればいいのかわからないのだが、その匂いの組み合わせがとても変だなあと思ったのだ。

今は9月の初旬でカイロを使うのはちょっと考えられない。

時々こんな事がある。結花の働いているカフェでいつもの豆の匂いがほんの少し違っている事に気付いて、よく調べると他の安い豆が混ぜられていたのだ。

すぐに本部に報告したら、仕入れ先に苦情を入れ問い詰めたらしい。

カフェは20店舗展開しているので、豆の仕入れは相当数になる。

店でも豆自体を売っている事もあり、高い豆に安いものが混入していると言うのは信用問題だ。

グアテマラ産の単体なのでミックスしているわけではない。

それに安い豆を混ぜられたのである。本部が激怒するのもよくわかる。

それから豆の仕入れ先が変わった。少し高くなったとしても信用できる所が一番だ。

結花は本部の担当者によく気が付いてくれたと感謝され金一封を貰ったのだ。それにはなんと10万も入っていた。

そんな事を思い出しながら歩いていると、前方の住宅街で炎が高く上がった。

また放火かも知れない。この頃放火がこの区域で続いているらしい。

結花はそれを見物するほど野次馬根性はないので、そのまま家に帰った。

そういえばさっきぶつかった人が急いできた方向ではあるなあと思ったくらいで、今日のこの後の仕事の事で頭がいっぱいになってしまった。