イケメン刑事(デカ)は ちょい悪美女を囲い込む

そして食べながら結花が話してくれた。

朝の5時前に消防車のサイレンが鳴り響き、その後すぐにお隣の人がインターフォンで知らせてくれたそうだ。

とにかく外に出て避難するように消防の人が言っていると教えて貰ったのだと言った。

火はすぐに消えたのだが、住民は皆呆然としていたそうだ。

昨日圭介達の聞き込みがあったばかりでまさか今度は自分たちのマンションが狙われるなんてと、皆口々に同じような事を言っていたらしい。

「放火ってガソリンや灯油だと思っていたんですが、エタノールだったんですね。だからそんなに匂いがしなかったんだと納得がいきました」

圭介は一瞬動きを止めた。

コーヒーカップを持ったままぽかんとした顔で

「えっ、今エタノールって言いました?」

「はい、消毒の匂いとカイロの匂いがしました」

「ちょっと待って、ちょっとこのまま動かないで、僕ちょっと消防の人呼んでくるので僕が出て行ったら鍵かけて待っていてくれますか?すぐにまた戻ってきます」

「はい」と結花は唖然としながらも同意してくれた。

圭介が慌てすぎた所為だろう。

直ぐに圭介は消防の捜査を担当している奥田を探し出した。

もう何度も同じ現場にいるので、すっかり顔なじみになってしまった感がある。

彼に事情を離すと”エタノール?“と呟いて目を見開いて驚いていた。

直ぐに二人で結花の部屋に取って返した。

インターフォンを押すとすぐにドアを開けてくれた。

「逢坂さん、もう一度さっきの話してくれますか?こちらは消防の捜査官の奥田さんと言います」

そう言って奥田を紹介すると、名刺を結花に渡して“よろしくお願いします“と言って頭を下げていた。

「えっと、荻原さんに放火ってガソリンや灯油で火をつけるのだと思っていたと言う話をしていたんですが、そんな匂いがしなくて消毒の匂いと多分カイロの燃える匂いがしたんでそうお伝えしたんです」

「あの消毒薬の匂いですか?」

「ええ、実は私すごく鼻が敏感なんです。スーパースメラーほどではないんですが、結構細かい普通の人にはわからないような匂いが分かるんです。消毒薬というとちょっと違うかもしれないんですがもっとお薬のような純粋なエタノールの匂いですね」

「逢坂さん、ありがとうございます。あなたは天の助けです。そうかエタノールとカイロか」

直立不動でそう言うと奥田はすっ飛んで行ってしまったが、すぐに戻って来て結花に敬礼をすると深々と頭を下げた。

その様子がまるでロボットみたいで、ギギギーと音が鳴りそうだった。