イケメン刑事(デカ)は ちょい悪美女を囲い込む

ドアの隙間から警察手帳を見せられた。もう8年近くも経っているのだ、まだ何か聞かれるのだろうかと半ば不貞腐れてチェーンを外しドアを開けた。

刑事なのだろう警察官の制服は着ていなかった。

二人いたがそのうちの一人は刑事かと疑うようなイケメンだった。ちょっと引いてしまう程の顔面偏差値の高い男だった。

彼は荻原と名乗った。放火の件での聞き込みだと言う事で結花はほっと一息ついた。

圭介は結花のあからさまにほっとした様子に違和感を持った。

他に何か聞き込みされるような事があるのかと刑事の勘が働いた。

だが、相手の女性はとても可愛くて澄んだ大きな目と長い睫毛がぱたぱたと音を立てそうだ。

そして口元のほくろが何とも言えず色っぽいのだ。圭介はその口元に見惚れていると

「で、何か?」

と聞かれて慌てて放火があった事や隣家に火が移り死者が出たことも話した。

その女性逢坂結花は、ええっと言って絶句していた。

放火のあったマンションはここから歩いて2~3分の所にある。この辺りは駅に近い事もありマンションが多いのだ。

何か不審な人物に心当たりはないかと尋ねたが、嫌そうな顔で全く分からないと言ってすぐにドアを閉めようとした。

今、仕事をしていて今日が締め切りなので時間が惜しいのだと言った。

とりあえずまた後日話を聞くことにして、名刺を欲しいと言うと名刺は持っていないと言われた。

どんな仕事をしているのかと聞くとIT企業から仕事を請け負って在宅で作業をしていると言った。

そして週4日ほどは駅前のカフェで働いていると言う事だった。

カフェの名前も聞いたので圭介はとりあえず引き下がった。

放火のあった時刻にはどこにいたかだけは確認したが、火の手が上がったのをそういえばカフェのパートの帰りに見たと言った。

すごく高く火の手が上がったので遠くからでも確認できたのだろう。

仕事の邪魔をする訳にはいかなかったので、またカフェの方に話を聞きに行くかもしれないとは言っておいた。。

明後日はカフェの仕事があると言ったので、そっちに行くつもりでドアを閉めた。

「主任、今の彼女めちゃくちゃかわいかったですね。今度カフェに行ってみようかな」

と相棒の佐野がのんきな事を言っている。

圭介は佐野の頭をバシッと叩いて、

「余計な事を考えてないでほら次の家の聞き込みをしろ」

佐野には厳しい顔でそう言ったが、確かに可愛い。佐野の気持ちはよくわかる。

圭介は署に帰ると消防の現場捜査の結果を待つ間に、パソコンで逢坂結花の犯罪歴を調べてみた。前科はなかった。

しかし未成年の時の履歴はなかなか出てこないのだが、何とか探し当てた。

強盗致傷だった。そんな風には見えないが、若い時は悪かったのだろう。そういえば今でも肝が据わった雰囲気がある。

若い時に悪かったとしてもそれを乗り越えてしっかり地に足を付けて生きているなら大したもんだ。ちょい悪美女って感じだなと、圭介は結花の顔を思い浮かべて思わず微笑んだ。

「えっ、主任、何にやにやしてんですか?思い出し笑いですか?誰の事?さっきのカワイ子ちゃん?」

鋭い佐野の突っ込みにドキッとするも、ちょうどその時消防の結果が出たらしく課長が集合をかけた。

やっぱり今度も発火点がはっきりしないようだ。つまり犯人がどうやって放火したのかがわからないと言う事だ。

ごみ置き場と言う事も特定するのに困難な原因でもあるのだろう。何があっても可笑しくないのだ。

それから捜査会議は延々と続いた。死者が出たのだ。さすがに署員たちの気持ちも下がっているが、そんな事は言っていられない。

一刻も早く犯人を逮捕しなければまた被害者が出るかもしれないのだ。それなのに何の手掛かりもない。