昼休み。給湯室でお茶を淹れていると、後輩の宮本がやってきた。
宮本美月、二十五歳。入社三年目で、私の一番の相談相手だ。仕事では私が先輩だけど、プライベートでは友人に近い関係になっている。
「真帆さん、最近お昼一緒に行かないですね」
宮本がマグカップを手に、隣に立つ。
「……ちょっと、立て込んでてね」
「嘘。サボってますよね、お昼」
鋭い。この子は昔から勘がいい。
「サボってないよ。食べてるし」
「コンビニのおにぎりとか、カロリーメイトとかでしょ」
図星だ。ここ三日間、まともなランチを取っていない。朝倉と同じ空間で食事をする気になれなくて、逃げるように外に出て適当に済ませている。
「……痩せたいの」
「真帆さん、これ以上痩せたら折れますよ」
宮本がじっと私の顔を見る。
何かを探るような目。
「あの新しく来た人……朝倉さん、でしたっけ。真帆さん、なんか避けてません?」
心臓が跳ねる。
「……避けてないよ?」
「教育係なのに、必要最低限しか話してないじゃないですか。普段の真帆さんなら、もっと丁寧に教えるのに」
確かに、私は後輩の面倒見がいい方だ。新人が入ってきたら仕事のことだけじゃなく、編集部の人間関係や、ランチの美味しい店まで教えるタイプではある。
でも、朝倉には。朝倉にだけは、それができない。
「……別に、特別な理由があるわけじゃないよ」
特別な理由。避けたい理由。いや、避けなければならない理由がある。
朝倉のペースに巻き込まれないようにしないと。
宮本は何も言わなかった。ただ、「ふーん」とだけ言って、お茶を啜った。
その視線が、妙に重く感じた。
宮本美月、二十五歳。入社三年目で、私の一番の相談相手だ。仕事では私が先輩だけど、プライベートでは友人に近い関係になっている。
「真帆さん、最近お昼一緒に行かないですね」
宮本がマグカップを手に、隣に立つ。
「……ちょっと、立て込んでてね」
「嘘。サボってますよね、お昼」
鋭い。この子は昔から勘がいい。
「サボってないよ。食べてるし」
「コンビニのおにぎりとか、カロリーメイトとかでしょ」
図星だ。ここ三日間、まともなランチを取っていない。朝倉と同じ空間で食事をする気になれなくて、逃げるように外に出て適当に済ませている。
「……痩せたいの」
「真帆さん、これ以上痩せたら折れますよ」
宮本がじっと私の顔を見る。
何かを探るような目。
「あの新しく来た人……朝倉さん、でしたっけ。真帆さん、なんか避けてません?」
心臓が跳ねる。
「……避けてないよ?」
「教育係なのに、必要最低限しか話してないじゃないですか。普段の真帆さんなら、もっと丁寧に教えるのに」
確かに、私は後輩の面倒見がいい方だ。新人が入ってきたら仕事のことだけじゃなく、編集部の人間関係や、ランチの美味しい店まで教えるタイプではある。
でも、朝倉には。朝倉にだけは、それができない。
「……別に、特別な理由があるわけじゃないよ」
特別な理由。避けたい理由。いや、避けなければならない理由がある。
朝倉のペースに巻き込まれないようにしないと。
宮本は何も言わなかった。ただ、「ふーん」とだけ言って、お茶を啜った。
その視線が、妙に重く感じた。
