元彼が職場の後輩に!?

 私、結城真帆(ゆうき まほ)、二十九歳。
 女性向けライフスタイル誌『CLASSY LIFE』の編集部で働いている。入社七年目、そろそろ中堅と呼ばれる立場だ。
 仕事は順調。少なくとも、自分ではそう思っている。企画が通る確率も上がってきたし、ライターさんや外部スタッフとの関係も良好だ。

 ただ、恋愛運だけは壊滅的だった。

 最後に誰かと付き合ったのは三年前。仕事が忙しいという理由で自然消滅した。その前は、相手の浮気が発覚して終わった。
 二十代後半から続く連敗記録。もはや気にしないことにしている。仕事があれば生きていける。趣味もある。友人もいる。恋愛だけが人生じゃない。
 そう自分に言い聞かせて、うまくやってきたはずだった。

 目の前にいる男――朝倉恒一(あさくら こういち)、三十一歳。
 五年前、私が二十四歳の時に別れた相手だ。

 付き合っていたのは、大学四年から社会人二年目まで。約三年間。
 別れた理由は、価値観の違いだとか、将来設計だとか、いかにも「大人ぶった理由」だった。本当のところは、もっと単純だったのかもしれない。

 ただ、一緒にいることに疲れた。
 今となっては、それが正直な気持ちだ。

「今日から、この部署に配属になった」

 朝倉は、まるで天気の話でもするみたいな口調で言った。
 相変わらず、感情を表に出さない話し方。スーツの着こなしは五年前より洗練されていて、髪型も少し変わっている。靴もしっかり磨かれている。

けれど、その目だけは、少しだけ迷って見えた。