「シワシワなのよね(笑)スーツケースに押し込んじゃってたの、もう着ないと思って」
「そっか、ちょっと待ってろ」
幸成はどこかへ電話をしているようで
「今から向かう」と言って電話を切った。
幸成はデニムに上はニットにジャケットを羽織り、ロングコートを着た。
梨花子はとりあえず今日着る予定だった黒のスキニーパンツにゆったりとした腰までのニット
「行こう」
「どこに行くの?」
「近くに知り合いのスタイリストの店があるんだ」
ホテルから20分ほど歩くと看板は出ていない事務所に入って行った。
「足立さーん、お世話になります」
ドアが開いて女性が出てきた。
「幸成!久しぶりね」
幸成は握手をして軽くハグをした。
「こちらが彼女?」
「はい」
梨花子は頭を下げる。
「今日誕生日パーティーしてくれるんだけど服がないって言うからさ」
「服がない訳じゃないけど…これでパーティーはどうかなと思っただけ」
「俺が言ってなかったから悪いんだけどさ」
「そうね、幸成がジャケットだから合わしたいって事なんでしょ?」
「はい、私田舎者なんで都会のセンスが全くなくて…」
「そうねぇ…」
足立さんは梨花子を上から下までゆっくり見ていく。
「悪くはないけど真面目な服ね」
「…はい」
奥からケープ風の紺のブラウスとパンツスタイルのセットアップの洋服を出してきてくれて試着することに…
「恥ずかしい…」
試着室から出てきた梨花子はショート丈で少しお腹がチラ見せになっているのがとても恥ずかしいようだ。
「攻めたね、足立さん(笑)」
「どう?幸成から彼女を見てみて」
「いいと思うな、足も長く見えるし、細いから似合う、まあお腹を出すファッションは梨花子はしたことないだろうけど」
「幸成の隣に立つならこれくらいは着なきゃ」
幸成の隣に立つなら?
梨花子は足立さんの言葉が引っかかった。
私はやっぱりダサいって事よね…
パーティーなんて無縁だもの、結婚式にもまだ出席したことがないからワンピースくらいしか着る事がない。
「でも、磨けば光る子ね、スタイルはいいし、美人だし、モデルでもいけそうだけど」
「ありがとうございます、でも梨花子はそういうタイプじゃないんで」
「梨花子さんは興味はないの?」
「あっ、はい、私は…大丈夫です」
「そっ、ちょっとスタッフを呼んでくるわ」
梨花子はずっとお腹を押さえていた。
「寒い?」
「ううん、恥ずかしいだけ」
「でもオヘソはでてないし、裾が斜めのラインだから少し見えてるだけだよ」
「幸成はいいと思うの?」
「まあ今日だけならな、普通に似合ってるぞ、俺の為に着てくれよ。買いとるから後で脱がしたい(笑)」
「えっ?やめてよ、こんな所で」
「ごめん」
「ふふふ、幸成が謝るなんて、よっぽど梨花子さんに頭が上がらないのね」
梨花子は幸成を見るとプイと顔を背けた。



