イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「はあ? なんでそうなるんだよ」
「いいじゃん、目的地は同じなんだからさあ」
 木下さんが割り込んできて、どんっと肘でわたしの腕を突いた。
 結構強い力で押されたわたしは堪えきれず、一歩退いた。
 邪魔だから、どっか行って。
 木下さんはわたしを見てないけど、態度でそう言っている。
「……優夜くん。わたしたち、先に行こうか」
「待てよ愛理、だったらおれも――」
 千聖くんが何か言っているけれど、わたしは聞かなかった。
 優夜くんの腕を引っ張り、その場から逃げ出す。
 優夜くんは特に抵抗せず、わたしについてきてくれた。
「……ぼく、あの人たち嫌いだな」
 千聖くんや春川さんから充分に離れたところで、優夜くんは不満げに呟いた。
 わたしは無言で木下さんに押された腕を見下ろした。
「…………」
 実はわたしもそう思う、なんて。
 波風の立たない、平穏な学校生活を望んでいるわたしには、言えるわけがなかった。
 春川さんたちはスクールカーストのトップにいる人たちだ。
 あの人たちを敵に回す勇気なんて、ないよ。
「愛理ちゃんはいいの? 春川さんっていう人、どう見てもお兄ちゃんのことが好きだよね? このままじゃお兄ちゃん、取られちゃうかもしれないよ?」
「取られちゃうって……そんな。千聖くんはわたしのものとかじゃないし。わたしと千聖くんはただの幼馴染なんだし……」
 わたしは俯いて、スカートの裾を握った。
 シンデレラに立候補したわたしは、笑われたけど。
 ドレスを着た春川さんは、色んな人から可愛い、綺麗って、もてはやされていた。
 千聖くんがシンデレラと結ばれる王子様役に立候補したって、文句を言う人なんているわけない。
 みんな素敵、お似合いだって、言うに決まってる。