Chocolate Season

「悪魔っ!」


「知ってる。でも、そんな俺のことが好きなんでしょ?」


「っ、ほんとドS!」


「なんとでもどうぞ。チョコ溶けちゃうから口開けて?」


「──ばかぁ」


「はいはい。ほら、あ〜ん」




チョコと伊織の誘惑に負けて口を開けば、甘いあまいチョコレートが。



手が離れていく寸前、唇に手が触れた気がするのはきっと気のせい。




「顔真っ赤だけど、チョコおいし?」


「寒いから赤いの!チョコはおいしいけど……」




私の反応に満足したようで、伊織はチョコをしまい始めた。




「残りは家で食べるよ。帰ろ?」


「……うん」




差し出された伊織の手に、そっと自分の手を重ねた。


指を絡めてぎゅって握る。



いつも通りの帰り道に、この辺りでは珍しい、雪が舞い降りてきた。



来年も再来年も、この先ず〜っと伊織といろんな季節を過ごして、一緒にいろんな思い出を作りたい。


そんなこと恥ずかしくて言えないけど。




「伊織、好きだよ」




急に素直になった私に、目を丸くしたのは一瞬。



いつもとは少し違う優しい笑顔を浮かべている伊織は、私の目を見つめて言う。




「俺も千紘のこと好きだよ、ずっと」