ならない電話を期待してしまう夜

「今日の研修どうだった?」

当たり前の様に電話で話すあなた

「楽しかった。さすがだね。進行も話も上手。
皆も楽しいって話してたよ」

懐かしい電話のやり取り
私もつい嬉しくなる

あのね…普通に電話かけてくるけど

私あなたにフラれた女です

「来年度の研修も手伝ってね、頼むよ」

仕事のやり取りだって分かってる
でもね、そんな時ばかり優しい声

スマホから聞こえる大好きな声に
嬉しくて、楽しくて、懐かしくて、安心する


付き合っていた時によく電話くれたよね
あなたが家に帰るまでの運転中
他愛のない話で30分
車がバックする音がして
「コンビニ着いたから、またね」
そう言って電話を切ったよね


だから、錯覚してしまう
あれ?この電話は…前と同じ?


だから、今夜も期待してしまう
ならない、なるはずのない電話

あの日はたまたま
研修手伝いしたからだよ
今日はきっと彼女と通話してるんだよ

バカな期待をしてしまう
バカな私に言い聞かせる


あのね、
少しずつ
あなたのいない日常に慣れてきた気がするよ

ぽっかり空いた穴は塞がらないけど
ならない電話を待ってしまうけど


少しずつあなたがいなくても大丈夫になるからね

涙が出る日もあるけど
もう少し時間をかけて

まずは、期待してしまう私を許してあげる
だってね、まだあなたの事が好きだから


いつの日か
あなたの事考えない日が来ると思う
ぽっかり空いた大きな穴が塞がって
自分を取り戻すから

それはそれで、少し寂しい気もするね

まだ大好きなあなた
今夜はね、私はならない電話を待っている