【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「嘘でしょう? ねえ、どうして? どうしてなの?」


 まさか『また』わたしのせい? わたしがリーヴェス様を好きだから?
 だけどわたし、お姉様の大切な人を欲しがったりなんてしていない! なんのために心を鬼にしてリーヴェス様に冷たく接してきたと思う? こんなの、あんまりだ。


「それは、その……」

「僕がエステルのことを好きだからだよ」


 お姉様が言い淀んでいるのを遮って、リーヴェス様がそう言った。驚きのあまり、わたしは大きく目を見開いた。


「嘘だ」

「本当だよ」


 リーヴェス様がわたしをまっすぐに見つめてくる。わたしは涙をこらえるため、唇をぐっと引き結んだ。


「絶対に嘘。だってわたし、嫌われるような態度しかとってないもの」


 生意気で可愛げのない最悪な女――それがわたし。わたしがリーヴェス様なら顔を見るのも嫌だと思う。

 お姉様とリーヴェス様が再び顔を見合わせた。……ほらね、やっぱりわたしのせい。わたしの恋心がお姉様にバレていたからなんだ。


「とにかく、わたしは絶対に認めない! わたし、リーヴェス様とは結婚しませんから!」


 そう宣言して、わたしはその場を飛び出した。