「ルチアに持っていてほしいのよ。あなたが使ってくれたほうが可愛いし、わたくしは嬉しい。受け取ってもらえなかったら悲しいわ」
お姉様はいつもそう言って、とびきり美しく笑うのだ。そんなふうに言われて、受け取らずにいられるわけがない。わたしは申し訳なさを覚えつつ、お姉様からいただいたものを大切に使ってきた。
そんなお姉様には幼い頃から素敵な婚約者がいる。
わたしにとって二番目に大好きな人、リーヴェス・パルトゥワ公爵令息だ。
リーヴェス様は漆黒の髪に水色の瞳が印象的な美しく凛々しい男性で、代々優秀な騎士を輩出しているパルトゥワ家の三男らしく、逞しくて頼りがいのある人だ。
父親同士が仲が良いという事情もあり、お姉様とリーヴェス様は十年ほど前に内々に婚約を結んだ。リーヴェス様は婿入りしてレイビィ侯爵家を継ぐことになっているので、頻繁に我が家にやってきて、お姉様や両親、わたしと交流を重ねてきた。会えばいつも優しい言葉をかけてくれたし、笑いかけてくれた。
そんなリーヴェス様にわたしが恋心を抱くまでに、そう時間はかからなかった。
だけど、この想いだけは絶対に誰にも悟られるわけにはいかない。
だって、バレたらまた、お姉様がわたしに大切なものを――リーヴェス様を譲ろうとするかもしれない。
そんなわけで、ここ数年、わたしはリーヴェス様にそっけなく対応をするよう心がけてきた。挨拶をされても真顔で返し、話題を振られても話が広がらないような返事しかしない。とびきりの笑顔を向けられても――たとえどれだけときめいても、本心を必死に押し隠して、無表情を貫いてきた。
けれど、ついに恐れていたことが起こってしまった。
「エステル、わたしのかわりにリーヴェス様と結婚してほしいの」
「え……?」
その瞬間、わたしは椅子から転げ落ちそうな心地がした。お姉様とリーヴェス様は互いに顔を見合わせつつ、わたしの反応をうかがっている。
お姉様はいつもそう言って、とびきり美しく笑うのだ。そんなふうに言われて、受け取らずにいられるわけがない。わたしは申し訳なさを覚えつつ、お姉様からいただいたものを大切に使ってきた。
そんなお姉様には幼い頃から素敵な婚約者がいる。
わたしにとって二番目に大好きな人、リーヴェス・パルトゥワ公爵令息だ。
リーヴェス様は漆黒の髪に水色の瞳が印象的な美しく凛々しい男性で、代々優秀な騎士を輩出しているパルトゥワ家の三男らしく、逞しくて頼りがいのある人だ。
父親同士が仲が良いという事情もあり、お姉様とリーヴェス様は十年ほど前に内々に婚約を結んだ。リーヴェス様は婿入りしてレイビィ侯爵家を継ぐことになっているので、頻繁に我が家にやってきて、お姉様や両親、わたしと交流を重ねてきた。会えばいつも優しい言葉をかけてくれたし、笑いかけてくれた。
そんなリーヴェス様にわたしが恋心を抱くまでに、そう時間はかからなかった。
だけど、この想いだけは絶対に誰にも悟られるわけにはいかない。
だって、バレたらまた、お姉様がわたしに大切なものを――リーヴェス様を譲ろうとするかもしれない。
そんなわけで、ここ数年、わたしはリーヴェス様にそっけなく対応をするよう心がけてきた。挨拶をされても真顔で返し、話題を振られても話が広がらないような返事しかしない。とびきりの笑顔を向けられても――たとえどれだけときめいても、本心を必死に押し隠して、無表情を貫いてきた。
けれど、ついに恐れていたことが起こってしまった。
「エステル、わたしのかわりにリーヴェス様と結婚してほしいの」
「え……?」
その瞬間、わたしは椅子から転げ落ちそうな心地がした。お姉様とリーヴェス様は互いに顔を見合わせつつ、わたしの反応をうかがっている。



