「だって、夜会の日は、思う存分ウォルター様のことをひとりじめできるから。ずっと見つめ合うことができるから。手を握ってもらえて、抱き寄せてもらうことができるから。だから、いつもすごく嬉しくて……特別だったんです」
「メリル……」
夢だろうか? メリルがそんなことを考えてくれていただなんて、にわかには信じられない。
メリルは意を決したような表情を浮かべると、ぎゅっと僕を抱きしめた。
「だからわたくしは、今日が最後だなんて嫌です。絶対、嫌です。だって、ウォルター様もわたくしのことを愛してくださっているでしょう?」
メリルが顔を埋めたあたりが、じわりと温かくなっていく。僕の瞳にも涙が滲んだ。
「ウォルター様はずっと、行動でわたくしへの愛情を示してくださっていましたもの。いつだってわたくしのことをたくさん考えて、心からの贈り物をしてくださいました。ずっとずっと、わたくしのことを忘れてしまったと嘘を吐かれるもっと前から、愛されていると感じていましたもの。今更『違う』と言われても困ります」
「……! どうして嘘だと……」
驚きのあまり、僕は思わず『嘘』を肯定してしまう。メリルは少しだけ笑いながら顔を上げると、僕のことをじっと見つめた。
「デートのあと、部屋の前で『おやすみ』と挨拶を交わしたでしょう? あのときに確信したんです。だって、普段わたくしたちが夜をどう過ごしているか、一切お尋ねにならなかったんですもの。もちろん、その前から『嘘』だろうって思っておりましたけど」
「メリル……」
「わたくしは――ウォルター様のお部屋に入ってみたかったのに」
泣きぬれた瞳に赤く染まった頬で、そんなことを言われた日にはたまらない。
「メリル、それは反則だろう……!」
今すぐ夜会会場から抜け出したくなってしまう。心のなかで苦悶の叫びをあげる僕をよそに、メリルは意地悪く微笑んだ。
「メリル……」
夢だろうか? メリルがそんなことを考えてくれていただなんて、にわかには信じられない。
メリルは意を決したような表情を浮かべると、ぎゅっと僕を抱きしめた。
「だからわたくしは、今日が最後だなんて嫌です。絶対、嫌です。だって、ウォルター様もわたくしのことを愛してくださっているでしょう?」
メリルが顔を埋めたあたりが、じわりと温かくなっていく。僕の瞳にも涙が滲んだ。
「ウォルター様はずっと、行動でわたくしへの愛情を示してくださっていましたもの。いつだってわたくしのことをたくさん考えて、心からの贈り物をしてくださいました。ずっとずっと、わたくしのことを忘れてしまったと嘘を吐かれるもっと前から、愛されていると感じていましたもの。今更『違う』と言われても困ります」
「……! どうして嘘だと……」
驚きのあまり、僕は思わず『嘘』を肯定してしまう。メリルは少しだけ笑いながら顔を上げると、僕のことをじっと見つめた。
「デートのあと、部屋の前で『おやすみ』と挨拶を交わしたでしょう? あのときに確信したんです。だって、普段わたくしたちが夜をどう過ごしているか、一切お尋ねにならなかったんですもの。もちろん、その前から『嘘』だろうって思っておりましたけど」
「メリル……」
「わたくしは――ウォルター様のお部屋に入ってみたかったのに」
泣きぬれた瞳に赤く染まった頬で、そんなことを言われた日にはたまらない。
「メリル、それは反則だろう……!」
今すぐ夜会会場から抜け出したくなってしまう。心のなかで苦悶の叫びをあげる僕をよそに、メリルは意地悪く微笑んだ。



