メリルと一緒に過ごす時間は、驚くほど早く過ぎていった。
どこに行っても、なにをしても楽しかったし、メリルは嬉しそうに笑ってくれた。この五年間温めてきた、メリルとしてみたかったことを時間が許す限りして、僕たちは屋敷に帰った。
「今日は一日楽しかったです」
僕の部屋の前でメリルが笑う。
契約結婚である僕たちは、互いの私室に入ったことがない。契約期間中は子を作らない、という約束になっているし、そもそもそんな関係を築けていないのだから当然だ。
けれどきっと、メリルの私室はメリル自身のようにかわいいだろうし、彼女の甘い香りで包まれているのだろう。僕にはただ、想像することしかできないけれど――。
「おやすみなさい、ウォルター様」
「ああ、おやすみ」
僕はそう言ってメリルを見送った。
***
その日以降、僕はできる限りメリルと過ごす時間を増やした。これまでなら伝えられずに飲み込んできた気持ちをできる限り言葉にし、メリルにぶつけてみた。そのたびにメリルは「ありがとうございます」と笑ってくれたけれど、実際のところ僕のことをどんなふうに思っているかはわからない。
と同時に、僕は多忙を極めていた。
「兄さん、引き継ぎの資料のことなんだけど」
「……ああ」
あとほんの数日で、弟のリーマスが成人する。そうすれば侯爵位はリーマスのものだ。
彼の誕生日当日は夜会を開き、そこで盛大に当主交代を祝うことになっている。
――つまり、その日がメリルと僕のタイムリミットだ。
どこに行っても、なにをしても楽しかったし、メリルは嬉しそうに笑ってくれた。この五年間温めてきた、メリルとしてみたかったことを時間が許す限りして、僕たちは屋敷に帰った。
「今日は一日楽しかったです」
僕の部屋の前でメリルが笑う。
契約結婚である僕たちは、互いの私室に入ったことがない。契約期間中は子を作らない、という約束になっているし、そもそもそんな関係を築けていないのだから当然だ。
けれどきっと、メリルの私室はメリル自身のようにかわいいだろうし、彼女の甘い香りで包まれているのだろう。僕にはただ、想像することしかできないけれど――。
「おやすみなさい、ウォルター様」
「ああ、おやすみ」
僕はそう言ってメリルを見送った。
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その日以降、僕はできる限りメリルと過ごす時間を増やした。これまでなら伝えられずに飲み込んできた気持ちをできる限り言葉にし、メリルにぶつけてみた。そのたびにメリルは「ありがとうございます」と笑ってくれたけれど、実際のところ僕のことをどんなふうに思っているかはわからない。
と同時に、僕は多忙を極めていた。
「兄さん、引き継ぎの資料のことなんだけど」
「……ああ」
あとほんの数日で、弟のリーマスが成人する。そうすれば侯爵位はリーマスのものだ。
彼の誕生日当日は夜会を開き、そこで盛大に当主交代を祝うことになっている。
――つまり、その日がメリルと僕のタイムリミットだ。



