【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

(変わらなければ)


 そう思ったその時、メリルがそっと僕の手を握った。心臓がドキッと大きく跳ねると同時に、体中の体温が沸騰したかのように熱くなる。


「せっかくのデートですから。……嫌ですか?」

「そんなまさか! その……嬉しいよ。すごく」


 ダメだ。今は自分で自分をコントロールできない。メリルがこちらを見ているとわかっているのに、顔がニヤけるのを抑えられずにいる。


「ウォルター様、なんだかかわいいです」

「かっ……!? 僕は君にかっこいいと思われたいのに」


 思わず唇を尖らせると、メリルはクスクスと笑い声を上げた。


「大丈夫、かっこよくて、かわいいですよ」


 そう言って目を細めるメリルに、なんだか無性に泣き出したい気分に駆られる。


(メリルが僕のことを好きになってくれたらいいのに)


 そう思わずにはいられなかった。