【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「ロバート、僕のこのあとの予定は?」

「今日は――お仕事の予定は何も入っておりませんが」


 僕の質問に使用人頭がそうこたえる。……実は少し前から、密かにスケジュールを調整してきたのだ。けれど、僕は知らんぷりをして「そうか」と相槌を打つ。


「それなら、これから街に出かけないか?」

「え? 街に、ですか?」


 メリルは目を見開き、僕のことをまじまじと見つめた。


「ああ、君のことをもっとよく知りたいんだ」

「けれどウォルター様、体は大丈夫なんですか? どこか痛むところは? お医者様に見ていただいたほうが……」

「平気だ。ピンピンしている」


 食い気味にそう返事をし、メリルの手をぎゅっと握る。


 僕たちの契約終了まであと数日。それ以降、メリルを僕から縛るものは何もなくなってしまう。このままではメリルは僕の元からいなくなってしまうだろう。本当に時間がないのだ。


「でしたら、ぜひご一緒させてください」


 返事をしながらメリルが笑う。あまりのかわいさに胸がドキドキと高鳴る。


(ああ、なんとかして、メリルを僕のところに繋ぎ止めなければ)


 僕は心のなかでそう誓った。