【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

(痛いところを突かれてしまったな)


 確かに、ユーフェミアの言うとおりだ。
 アダルヘルムとは将来の約束をしたわけではない。気持ちが通じ合って恋人同士にはなれたものの、結婚ができるかどうかは別問題だ。いずれ別れるとわかっていて交際を重ねても、双方にとって意味がない。それでも――。


「ヴェリーヌにお願い事があるんだけど」


 と、後ろから唐突に抱きしめられる。アダルヘルムの声だ。ヴェリーヌの目頭がじわりと熱くなる。


「お願い事ですか?」

「うん。今度の長期休暇に一時帰国をするんだけど」


 アダルヘルムはヴェリーヌの額に口付けると、そっと目を細めた。


「ヴェリーヌにも一緒に来て、俺の両親に会ってほしいんだ」


 ドキッとヴェリーヌの胸が高鳴る。ヴェリーヌはアダルヘルムの腕を抱きしめ返した。