***
ドーラや両親はそのまま城内のどこかへ連れて行かれた。その翌日には伯爵家の爵位や財産がすべてカレンのものになると決まっていて、書類にサインをするよう求められた。これから先、三人がどうなるのかカレンは知らない。けれど、知る必要はないと感じていた。
「アレクシス殿下、ありがとうございました」
ずっと辛くないと思っていた。仕方がないとも思っていた。けれど、あの環境から離れてみてはじめて、カレンは自分が傷ついていたことを思い知る。
カレンが笑うとアレクシスが嬉しそうに目を細めた。
(だけど……)
「カレン様?」
考え込んでしまったカレンにアレクシスが声をかける。
「どうかなさったんですか?」
アレクシスは心配そうな表情でカレンの顔を覗き込んできた。
カレンは今、とても幸せだ。自分を虐げてきた家族はもういない。お腹いっぱい食べることができ、ふかふかのベッドで眠ることができ、可愛いドレスや靴、宝石に囲まれて、何不自由ない生活を送ることができている。
けれど――
「もしも――もしも私があなたの思うカレンじゃなかったら、アレクシス殿下はどうします? 万が一、間違いだったら? カレンの記憶を持つ別の誰かが現れたら、アレクシス殿下は……」
その瞬間、アレクシスはキョトンと目を丸くする。それからケラケラと笑いはじめた。
ドーラや両親はそのまま城内のどこかへ連れて行かれた。その翌日には伯爵家の爵位や財産がすべてカレンのものになると決まっていて、書類にサインをするよう求められた。これから先、三人がどうなるのかカレンは知らない。けれど、知る必要はないと感じていた。
「アレクシス殿下、ありがとうございました」
ずっと辛くないと思っていた。仕方がないとも思っていた。けれど、あの環境から離れてみてはじめて、カレンは自分が傷ついていたことを思い知る。
カレンが笑うとアレクシスが嬉しそうに目を細めた。
(だけど……)
「カレン様?」
考え込んでしまったカレンにアレクシスが声をかける。
「どうかなさったんですか?」
アレクシスは心配そうな表情でカレンの顔を覗き込んできた。
カレンは今、とても幸せだ。自分を虐げてきた家族はもういない。お腹いっぱい食べることができ、ふかふかのベッドで眠ることができ、可愛いドレスや靴、宝石に囲まれて、何不自由ない生活を送ることができている。
けれど――
「もしも――もしも私があなたの思うカレンじゃなかったら、アレクシス殿下はどうします? 万が一、間違いだったら? カレンの記憶を持つ別の誰かが現れたら、アレクシス殿下は……」
その瞬間、アレクシスはキョトンと目を丸くする。それからケラケラと笑いはじめた。



