【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

(私……私は――)

「アレクシス殿下、至急お耳に入れたいことが」


 と、アレクシスの補佐官から声がかけられる。使用人を含め、カレンと二人きりのときは絶対に邪魔をしないように言い含められているからよほどの緊急事態だろう。


「なんだ?」

「それが、カレン様のご家族が城に乗り込んで来ておりまして……『殿下と話がしたい』と主張しているのですが、いかがしましょうか?」

「えっ?」


 カレンが思わず声を上げる。


(一体なにをしに来たのかしら?)


 あの夜、ドーラは強制的に城から追い出されてしまった。それ以降、カレンは家族の誰とも連絡を取っていない。今、彼らがどんな状況かまったくわからなかった。


「いいよ、私が対応しよう。カレン様はこちらでお待ちください」


 アレクシスが立ち上がる。「待ってください」とカレンはアレクシスの袖を引いた。


「私も一緒に行ってもいいですか?」

「え?」


 カレンの言葉にアレクシスはためらう。カレンは真剣な表情を浮かべた。


「私の話をするのでしょう? でしたら、除け者にされるのは嫌です」

「……わかりました」


 アレクシスはしばらくの間迷っていたものの、最終的にはカレンの主張を受け入れてくれる。緊張で嫌な音を立てる心臓をなだめつつ、カレンはアレクシスとともに両親やドーラのもとへと向かった。