***
(けれど、本当にいいのかしら?)
時間が経つにつれ、カレンは不安に駆られていた。
アレクシスは本当によくしてくれている。彼は食事やお茶の時間のたびに部屋へやってきて、カレンに美味しいものを食べさせてくれるのだが。
「アレクシス殿下、あの……」
「自分で食べれます、と言うのでしょう? 知っています。けれど私はあなたを甘やかしたいのです。というか、そう約束をしました。カレン様に拒否権はありません」
目の前に差し出されたフォークを見つめつつ、カレンは複雑な心境で口を開く。この問答の前にはアレクシスの膝の上に乗せられそうになったので、全力で拒否して向かいの席に腰かけたばかりだ。
「アレクシス殿下、私は子供ではありませんよ?」
「当然です。けれど、子供以外に食事を食べさせてはいけないという決まりはありません。大体、カレン様は痩せすぎです。もっとたくさん食べていただかなくては」
アレクシスはそう言いながら、ムッと唇を尖らせる。カレンの家族のことを思い出しているのだろう。
(別に構わないのに)
こんなふうにしっかりと食事をできるだけでカレンは十分幸せなのだから。
――そう思うカレンだったが、アレクシスはとにかくカレンを甘やかしたいらしい。城に来てから毎日のようにドレスや宝石が届くので、カレンは戸惑いっぱなしだった。
「嬉しくありませんか?」
カレンの反応が芳しくないので、アレクシスは叱られた犬のようにシュンとしてしまう。
「嬉しくないわけじゃないけれど、私のためにお金を使っていただくのは申し訳なくて……」
「――変わりませんね」
アレクシスが微笑む。その瞳に映っているのは前世のカレンの姿なのだろう。そう思った途端、カレンの胸がツキンと痛む。
(アレクシス殿下が私に優しくしてくれるのは、私のためじゃない)
カレンと前世のカレンは別の人間だ。しかも、カレンはなにも覚えていない。アレクシスから優しくしてもらえる理由も権利もないとカレンは思っていた。
(けれど、本当にいいのかしら?)
時間が経つにつれ、カレンは不安に駆られていた。
アレクシスは本当によくしてくれている。彼は食事やお茶の時間のたびに部屋へやってきて、カレンに美味しいものを食べさせてくれるのだが。
「アレクシス殿下、あの……」
「自分で食べれます、と言うのでしょう? 知っています。けれど私はあなたを甘やかしたいのです。というか、そう約束をしました。カレン様に拒否権はありません」
目の前に差し出されたフォークを見つめつつ、カレンは複雑な心境で口を開く。この問答の前にはアレクシスの膝の上に乗せられそうになったので、全力で拒否して向かいの席に腰かけたばかりだ。
「アレクシス殿下、私は子供ではありませんよ?」
「当然です。けれど、子供以外に食事を食べさせてはいけないという決まりはありません。大体、カレン様は痩せすぎです。もっとたくさん食べていただかなくては」
アレクシスはそう言いながら、ムッと唇を尖らせる。カレンの家族のことを思い出しているのだろう。
(別に構わないのに)
こんなふうにしっかりと食事をできるだけでカレンは十分幸せなのだから。
――そう思うカレンだったが、アレクシスはとにかくカレンを甘やかしたいらしい。城に来てから毎日のようにドレスや宝石が届くので、カレンは戸惑いっぱなしだった。
「嬉しくありませんか?」
カレンの反応が芳しくないので、アレクシスは叱られた犬のようにシュンとしてしまう。
「嬉しくないわけじゃないけれど、私のためにお金を使っていただくのは申し訳なくて……」
「――変わりませんね」
アレクシスが微笑む。その瞳に映っているのは前世のカレンの姿なのだろう。そう思った途端、カレンの胸がツキンと痛む。
(アレクシス殿下が私に優しくしてくれるのは、私のためじゃない)
カレンと前世のカレンは別の人間だ。しかも、カレンはなにも覚えていない。アレクシスから優しくしてもらえる理由も権利もないとカレンは思っていた。



