【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「物心がつくと同時に前世の記憶を思い出し、自分が王子に生まれたと気づいたときは、本当に嬉しく思いました。ありとあらゆる方法で、思う存分カレン様を探すことができますし、なにがあっても守ることができますから」


 カレンはアレクシスの熱視線を感じつつ、うつむいたまま虚空を見つめる。


「だから殿下は、これまで誰とも結婚をしなかったんですか?」

「そうですよ。私にはカレン様以外の女性は考えられませんから」


 アレクシスは微笑みながらカレンを抱きしめる。カレンの心臓が高鳴った。


「あなたに会いたくて、夜会を開く以外にも、色んな方法を試したんですよ? 国内の領地はすべて自分の足で回りました。孤児院や貧民街も、ありとあらゆる場所を。もしかしたらカレン様がいるんじゃないかと思って」

「そう……」


 もしもアレクシスが王命による絶対参加の夜会を開いていなかったら、ドーラに幽閉されたカレンとは絶対に会えなかっただろう。アレクシスが婚約前の令嬢に面会を要求していた理由も、万が一カレンが別の人間と結婚してしまうのを防ぐためだったのだ。


「そういうわけですから、カレン様に拒否権はございません。あなたには私と結婚していただきます」


 アレクシスがカレンの左手薬指に口付ける。カレンはなにも言うことができなかった。