【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「殿下はどうしてカレンをご存知なのでしょう? こういってはなんなのですが、姉は大層な引きこもりで、我が家の人間以外との接触が殆どありませんでした。大変恐れながら申し上げますと、人違いだと思いますの」


 ドーラはそう言って、そっとカレンの腕に触れ、自分のほうに引き寄せようとする。が、アレクシスはドーラを突き飛ばすと、ゆっくりと大きく息をついた。


「そんなこと、おまえには関係がないだろう」

「え? だって、その……」

「カレン様を虐げてきたのはおまえだな?」


 アレクシスはドーラの顎をグイッと掴み、氷のような瞳で見下ろす。


「そ、んな……虐げただなんて」

「カレン様は細すぎる。肌や髪の状況から鑑みても、きちんと食事ができていないのは明らかだ。それに、良家の子女だと言うのにまともなドレスも与えられていない。おまえのドレスは贅を尽くしたものだというのにおかしな話だ」

「それは、その……」


 ドーラの目が泳ぐ。アレクシスは手にギリリと力を込めた。