【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「殿下、今のは……」

「俺はずっと、アダリーシアに片思いをしていてね。君との婚約を破棄したことを聞きつけてすぐに、アダリーシアに自分の想いを告げたんだ。時期尚早かもしれないけど、ライバルがたくさんいると知っていたからね」


 ジェルバはそう言って、周囲をゆっくりと見回す。嘘だろう、という気持ちでラーベルも周囲を見回すと、残念なことに数人の男性と目があってしまった。


(本当なのか?)


 にわかには信じられない状況に、ラーベルは唇をぐっと引き結んだ。


「まあ、現状は結婚に承諾してもらえたわけじゃないけど、アダリーシアに次の結婚相手が見つからないなんてありえないよ」