【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

「なるほど……たしかにいい機会です。ラーベル様が思う理想的な女性とは、具体的にはどのようなものなのでしょう? 列挙していただけますか?」


 アダリーシアはそう言って、紙とペンを取り出す。ラーベルはニヤリと口角を上げた。


「髪の毛は金色かピンクでふわふわと触りたくなるようなウェーブがいい。雪みたいに真っ白な肌に、目は大きなタレ目、色は青か緑が理想的だ。声は高く、口調は柔らかく。レースや刺繍がふんだんに使われている服装が似合う女性らしい体つきで、一緒にいると癒やされるような女性が一番だ。まあ、アダリーシアとは真逆なタイプだし、絶対に無理だろうけどな!」


 ハハッと大きく笑いながら、ラーベルはイディアに向かって「行こう」と促す。その場に取り残されたアダリーシアは、自分が書いたメモを見つめながら小さくため息をついた。


***


 それから数日後、ラーベルはイディアとともに学園のホールにいた。

 今日をもって、ラーベルとアダリーシアは学園を卒業する。ラーベルはこれから開かれる卒業記念パーティーに、二歳年下のイディアをパートナーとして連れてきていた。


(まったく、アダリーシアには呆れてしまうよ)


 会場を見回しながらラーベルは笑う。

 ラーベルは決して、アダリーシアに多くを求めていない。ラーベルの理想は、男性が抱くごく普通のものであって、それにこたえられないアダリーシアが悪いのだ。

 事実、会場にいる女性たちはみな、柔らかいシルエットの愛らしいドレスを着ているし、パートナーである男性を立てている。