【短編集】あなたのためを思って言っているのよ?

***


「あんなふうにバラしちゃってよかったんですか? せっかくずっと隠していたのに。留学期間はあと数カ月ですが、居心地が悪くなってしまいません?」


 アダルヘルムと一緒に夜会会場を抜け出したヴェリーヌは、開口一番そう尋ねた。


「構わないよ。あれ以上黙っていたら、かえってユーフェミア嬢が気の毒だからね。彼女の婚約者とも話をして、打ち明けることに決めたんだよ」


 そっと瞳を細めつつ、アダルヘルムが言う。


「それに」


 アダルヘルムは足を止めると、ヴェリーヌを静かに抱きしめる。


「ヴェリーヌに他の男を近づけたくなかったから」


 そう口にしたアダルヘルムの頬は、ほんのりと赤く染まっている。
 ヴェリーヌはアダルヘルムを抱きしめ返すと、満面の笑みを浮かべるのだった。